有弓休暇(39)

 2012年9月22-23日、アーチェリーワールドカップファイナル東京。
 FITA改めWAのたっての希望から日本のど真ん中、日比谷公園第二花壇に特設された会場に行ってきました。1982年の第1回アジア・オセアニア選手権以来、30年ぶりに日本で行われる2度目の国際大会です。それもFinal。なんですが、、、初日土曜日のコンパウンドは曇天無風のアーチェリー日和。ところが、2日目日曜日のリカーブは止み間のないとんでもない大雨。
 全ア連の島田さん曰く、今回のロンドンでのメダルを受けて「図らずも絶好のタイミング」。2004年のアテネは「作戦が乏しかった」とのことで一昨年から準備を進めていたようですが、8年前の事前予想は女子のメダル、今回は何にもなしのところに転がり込んだメダルです。テントもなければ、雨宿りの場所もない。雨合羽も傘も売っていない、ビニール袋1枚配られない会場同様、予想だにしない出来事なんでしょう。。。
 そんな中よくぞ、これほど多くの善意のアーチャーの皆さんが集まったことに感動です。ちなみにアーチャー以外の見物は、報道陣を除けば皆無。それもそのはず、どんな作戦かは知りませんがネットを見ても全ア連のページを見ても、ニュースを観ても雑誌を見ても、多分この週末に東京駅からたった5分のところで、入場無料のワールドカップをやっていることを知る一般人はいなかったはずです。アーチェリー関係者ですら招待券が届いたのが4日前、東京都の協会に割り振られた100枚の無料券も倍率土曜日5倍、日曜日7倍といいながら、そのまんま。土曜日の空き状況を聞きつけて集まった連中を大雨の中にほったらかし、開場すれば結局はガラガラで観客無視。何を聞いても、すべて「予想が立たないので」との回答しかありませんでした。
 では試合の中身はというと、、、中国の欠席はいいのですが、1987年のアデレード世界選手権から始まった「グランドFITAラウンド」から今回の「セットシステム」まで25年。よく言えば試行錯誤ですが、これだけころころルールを変えてもまだこなれません。今回家でBSテレビを観た人も、面白かったですか? 世界のトップが射っていて、ワクワクハラハラドキドキしましたか?
 これは全ア連ではなくWAの責任ですが、コンパウンドで15本、リカーブなら最短6分の9本射てば終わりですよ。素人や門外漢にはそんなサイコロを振るような運と度胸のゲームは面白いかもしれませんが、アーチェリーをする者にとってはこんな小手先のワザを観たいのではありません。それになぜコンパウンドが50mで、リカーブが70mなんでしょう? なぜコンパウンドが15射合計得点システムでリカーブがセットシステムなんでしょう? アーチャーとして理由が理解できません。奇妙なルールだらけです。それでも金が動く、絵にしなければならないワールドカップとオリンピックは許すとしても、世界選手権もこのやり方ならそれは違うでしょう。違わなければなりません。
 なぜなら世界選手権はそれを愛好する者の最高峰の試合であり、その頂点を目指す「競技者のための」オリンピックです。ワールドカップとオリンピックは一般素人のためのイベントです。それが証拠にここ何年も、70mダブルであっても、あるいはFITAダブルはいうに及ばず、そんな予選で最高の技と得点を見せた世界最高のアーチャーが数本サイコロを振って消えていったのは、先月のロンドンも同じでした。いくら足に心拍計を取り付けようが、素人には面白くても、同じ競技者はそんな子供騙しではドキドキはしないのです。圧倒的なパワーとそこにある精緻の技術にこそ心が震えるのです。たった9射ではなく288射、それを見せてくれるからこそ4日間飽きることなく注視し、感動と賞賛を贈るのです。選手とアーチャーを無視して、素人の観客目線だけで演出を考えるからおかしくなります。24時間飛行機に乗って地球の裏側から来て、たった9本射って帰るんですよ。名古屋から新幹線で来るのと訳が違います。
 と、愚痴りたくなるひどい大雨の1日。でしたが、試合のお陰でたくさんの方ともお会いできたり、声を掛けていただいたり、ジェニファーとも会えたし、ほんとうに楽しい週末、雨の東京でした。。。
 11月にはここ東京で未経験者も参加できる親子大会、「第1回全国ノービスカップ」が開催されるとのこと。愚痴ってばかりいても仕方がないので、これからの若い子供達に希望と夢を託しましょうか。頼むぜ電通。

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