カーボンハンドル

 1987年、ヤマハが世界初のコンポジット(カーボン)ハンドルを商品化して以来、どこのメーカーも着手しなかったこの分野に、1990年代中頃やっと参入したのがこれです。スロベニア製カーボンハンドル「Perun」。スロベニアの伝説「稲妻の神」の名を冠したハンドルの最大の特徴は、「超軽量」でした。通常のNCハンドルの約半分の重さが、なぜ必要なのか。これこそがヤマハのコンポジットハンドルが目指し、成し得るメリットのひとつです。

 

 Perunはヨーロッパで実際の試合でも使用されていました。ところが、訳あってテストを依頼された2本のハンドルは残念なことに2本とも短期間に折損。1本はリムの接合部分、もう1本はグリップから折れてしまいました。(現在、生産は行われていません。) 原因は単純な強度不足。設計上の問題もあるのですが、製法と使用された素材がまったく陳腐なコンポジットだったからです。弓としての完成度があまりにも低すぎたのです。

 

 コンポジットという製品には多くの設備と資金が必要です。精度の高い金型やプレス機、そして高品質の素材(高価なカーボン繊維など)が不可欠です。そしてなによりもノウハウの蓄積と知識が必要な技術なのです。どこかの節操のないメーカーのように、機材を持ってきたからできるというようなものではありません。だからこそ今一度、低コストと安易なポリシーと金儲けではなく、高い理想と情熱と夢、プライド、哲学を持ってリカーブボウの理想を目指した弓を目指してもらいたいものです。

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