あこがれ

 そんなに練習して、どうしたいんですか?
 と聞くと、多くのアーチャーは「当てたい」「勝ちたい」「強くなりたい」と答えます。それはそれで結構なことです。でも、射って勝つんなら、練習すりゃ勝てるんで簡単なことです。でも、アーチェリーはそんなに簡単じゃないのは知ってるでしょ!!
 それが証拠にいっぱい練習している学生が社会人に勝てないのはよくある話です。たしかに練習はしないとだめです。でも、大事なのはその中身で、もっと分かり易く言えば練習とは「自分の自由になる時間の何パーセントを使ったか」が重要なのです。時間の一杯ある大学生がマージャンや茶店に行ってる合間の2時間を練習に費やすのと社会人が8時間を生活のために売ってなおかつ残業しながら1時間の練習時間を作るのとでは、おのずとその内容が違ってきます。もっと分かり易く言えば、社会人が練習しようと思えば最終的には寝る時間を削ってそれをひねる出すしかないんです。そんなアーチャーと暇つぶしのアーチャーでは差がついても当然と言えば当然です。大学生で勝ちたいんなら一日5時間は練習しなさい。少なくとも・・・。
 で、話は戻って、アーチャーを練習に駆り立てるエネルギーってなんでしょう? 「当てたい」「勝ちたい」「強くなりたい」をその原動力と考える人がたくさんいます。それはそれで正しいことです。「当てたい」「勝ちたい」「強くなりたい」と思うからこそ寝る時間を削ったり、デートの時間をさいたりしてレンジに足を運ぶのです。しかし、これらの原動力は何か「根性」や「ガッツ」ぽくってよほどの何かがないと長続きしそうにないと思いませんか。それに現実問題として考えたら結構早くに挫折しそうですよね。
 ある早い時機には「当てたい」「勝ちたい」「強くなりたい」が原動力になることはあるでしょうが、もっと長い目で見た時、あるいは本気で大きな大会で勝利することを考える時にはもっと柔らかい(?)持続性のある原動力が必要です。それが「あこがれ」なんです。何度も負けて、何度も挫折しながら、そこから立ち上がって本当の強さと自覚、そしてもっと大きな目標に向かうためにはその中心に「あこがれ」がなければ決して大成はしないでしょう。
 「あんな人になりたい」「あんな所で射ってみたい」「あの人に会いたい」、こんな漠然とした目標と言うにはちょっと違うような・・・そんなあこがれこそが本当は大きな原動力となるのです。
 トンガッタ原動力は瞬発力はあっても持続性に欠けます。たとえ100mダッシュであってもマラソンであっても、そこにはその競技を「楽しむ余裕」がなければ続かないし勝てません。アーチェリーも同じです。射つことを楽しみ、自分を高めることに感謝する気持ちが大切なんです。それができれば外れることも、負けることも恐くなく、次の希望と目標が見えてきます。
 勘違いしないでください。「原動力」と「方法論」は違うのを!!
 「あこがれ」も「当てたい」「勝ちたい」「強くなりたい」もアーチャーを練習場へと足を運ばせる「原動力」ではあっても、それイコール「方法論」ではないのです。「ああなりたい、ああなりたい、ああなりたい・・」と思って練習しているだけではああはならないし、「勝ちたい、勝ちたい」って言ってみても勝てないんです。まずはレンジに足を運んで、次に目標を手に入れるための「方法論」が不可欠なのです。ここを勘違いすると、いつまでたってもうまくはなれないし、アーチェリーを楽しむことはできません。

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