パワーダンパー β(ベータ)版

 凄いモノができました!
 先に言っておきます。これは普通のゴムやスポンジではだめです。日本の誇る先端技術、特殊ゴムのひとつである「低反発ゴム」を使ってこそできた道具です。この「パワーダンパー」は市販されているリムセーバー(商品名としての)とはまったく発想も性能も異なる、画期的なアーチェリー用超振動・衝撃吸収ダンパーです。

 これが一番最初に実射テストに使用した、「パワーダンパー α(アルファ)版」です。
 今回目指したのは、弓の反発力を阻害したり性能を落とすことなく、弓の不良振動やリムのバタツキを解消する道具でした。
 そこで結論から言えば、↑写真のように「低反発ゴム」をストリングとリムの間に配置することです。これが凄いのは、発射の瞬間まではほとんどリムの動きに干渉することなく(発泡素材のため非常に軽量です。比重約0.3程度。)、矢がストリングから離れた(ストリングがストリングハイト位置まで戻った)後に確実に、不要な振動や動きを元から解消できることです。この「低反発ゴム」は同様の厚さのシートに数メートルの高さからゴルフボールを落としても跳ね返らないという性能を持つものであり、そんなゴムを矢を発射した後のストリングが叩くわけで、叩けば叩くほどに振動は消えるというわけです。ちなみに、難しいことはわかりませんが、この「低反発ゴム」は運動エネルギーを熱エネルギーに変換して衝撃を吸収するという特別なゴムです。(とは言え、押さえていたら熱くなってくるなどというようなことはありません。)
 使ってみればわかります。本当にリムのバタツキや不要な動き、ストリングのビビリ等が消えます。これはどのレベルのアーチャーが使ってもはっきりと体感できます。完成度の低い弓やチューニングがしっかり出来ていない弓ほどに効果を発揮するのは当然ですが、普通の弓であってもリリース後の安定感や静寂性が確実に向上することで、的中性能やフォームの安定に好結果を与えることは確実です。またシューティングミスをした時などにも、その不良振動を消してくれます。ともかく、これまでにはない画期的、高性能な新しい道具です。
 
 なのですが、テストをしている途中でいくつかの問題点が出てきました。
 まず「低反発ゴム」といってもいろいろな種類や性能があります。写真のものはスポンジ状のものですが、これ以外にもゴム状のものなど多種あります。そこで最初は、あえてスポンジ状の素材をストリングハイト位置でストリングが食い込んだ状態にセットしました。これは低反発ゴムが早い段階でストリングの動きを抑えることで、リムの反発力や矢に与えるエネルギーが損なわれないかを確認したかったのです。これについては複数のアーチャーにもテストをしてもらいましたが、極端にスポンジを食い込ませてもサイト位置の変化はまったく見られませんでした。(逆に極端に食い込ませた方が、リムのバタツキを抑えるのに効果があるのは当然です。)
 ところが別の問題が起こりました。スポンジの耐久性が弱いのです。ストリングの食い込みによって、ストリングが割れて(切れて)きたのです。この点は、スポンジ状ではなくゴム状の素材を使うことで問題ないレベルまで改善は出来たのですが、少し重くなるということがありました。気にならないと言えばそれまでなのですが、やはり軽量化ということでスポンジ状へのこだわりがありました。(スポンジ状であるからといって、雨天などの条件下で水を含むということはないようです。)
 そしてもうひとつ問題がありました。これも得られる性能と引き換えるなら、無視もできる範囲ではあるのですが、気になるといえば気になります。引っ付くのです。スポンジ状であっても、一応はゴムなのでどの素材を選択してもほんの少しの粘着性が表面にあるのです。ストリングが素材から離れる瞬間にほんの少しの引っ付きなのですが、それがストリングを弾くことで音を発します。それも改善の対象になりました。
 そんな試行錯誤の結果できたのが、限りなく最終版に近い「パワーダンパー β版」です。
 低反発の特殊ゴム(スポンジ状)に、工業用ローラーや歯車に使用する耐磨耗性に優れた特殊耐磨耗ゴムを積層成型しました。これで強度も異音の問題も解決です。
 それだけではありません。硬質素材を表面に積層させることで、ストリングから受ける線のエネルギーを低反発ゴムに面で伝える(吸収させる)ことができ、より効率的な振動・衝撃吸収が可能になりました。
 また表面に弦溝を配することで、矢を発射した後のストリングの横揺れやビビリといった不良振動や二次振動も解消できました。
 どうです。どう思います?!  すべてのリカーブボウアーチャーに、性能とそれまでとの違いを簡単に体感してもらえる画期的新型リムセーバー(ルール上の言葉としての)です。1射で凄さと違いがわかります。本当ですよ! (特許出願済)
(2004年6月)

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