ノウハウ(4) ストリング

 今のストリングが切れない、伸びないといっても、実際の使用ではストリングを張った状態から数本矢を射った状態では、数ミリですがストリングハイトが下がります。リムがハンドルの定位置に収まっていないこともあるでしょうが、原糸を含めたストリング全体がテンションを受けることで伸びるためです。
 試合の前にはプラクティス(試射)があり、そこで伸ばせばいいと考えるアーチャーもいるかもしれませんが、1射でも無駄にしないためにも射つ前に弓もストリングハイトも良い(伸びた)状態にする必要があります。そのため発射ができないなら2つの方法を必ず行います。
 ストリングを張ったら、ハンドルを膝に掛け両手でリムを長さ方向に力いっぱい押し広げます。これだけでも結構伸ばせます。
 そして必ず5回でも10回でもストリングを20〜30センチ程度引いたところからバンバンと何度も弾きます。ストリングハイト位置でテンション(ベクトル)は長さ方向に対して最大になります。矢をつがえず空射ちのようなことを繰り返すことで、発射と同じ状態を作れます。ともかく、そうやってストリングを安定した良い状態に置いてやります。リムもその動作によってU溝に収まります。
 ストリングは20〜30回程度捩った状態で使えばいいのですが、ストリングは捩り回数ありきではなく、ストリングを捩るのは自分の希望する「ストリングハイト」に合わせるためです。そのため100回捻って使うこともできれば、最初が短めのため10回転程度しか捩れないこともあります。
 ケブラーの時代、ダクロンに比べストリングは伸びなく軽くはなったのですが、切れました。1000射を超えればいつ切れてもおかしくない素材でした。今は切れないので分かりませんが、切れるからこそ分かることもたくさんあります。
 例えば16本弦と20本弦であれば、当然太い20本の方が強度的には切れにくいのですが、自作のストリングの場合太い方が切れやすくなったりします。理由はワックス付きの原糸を2本の釘に掛けて束ねる時、数が多い方が最後に均一にさばけないのです。作り方がヘタといえばそれまでですが、均等に20本にテンションが掛からなければ、きつく掛かった数本の原糸が先に破断してストリングは切れます。
 あるいは、捩り回数をあえて多くしておくと、捩り回数が少ない時より切れずに長持ちすることが分かります。音も少し静かです。捩ることで原糸自体が伸縮性を持ち、発射のショック(テンション)を吸収してくれるのです。リムも長持ちするでしょう。
 矢の長さを聞かれても多分正確に答えられません。初心者でなければインチ刻みでカットするわけでもなく、ポイントを含むのかノックのどこまでか、、、自分の矢を差し出すしかありません。中級者以上であれば矢の長さはメジャーの目盛りであわせるのではなく、自分のフォームとウインドウのクリッカー位置で決めてカットします。
 ストリングハイトも計り方はそれぞれです。ストリングの手前なのか、遠い方なのか、ゲージはどう置くのか。しかし、矢の長さ同様にハイトも自分が分かればいいのです。そして変化に気付くことが大切です。そのためには毎回同じゲージで同じ計り方することです。
 ストリングハイトはピボットポイントからの長さとその数値の変化が大事です。ゲージをストリングに挟んでも、グリップ側から計っても、どちらでもかまいません。同じように、毎回自分が分かるように計ります。ティラーハイトは弓からの距離(数値)は不要です。同じ位置での上下の差が重要です。
 ところで、初心者がストリンガーで弓にストリングを張るのはいいのですが、ある時期(中級者くらい)からは「プルプッシュ」法でストリングを張ることを覚えましょう。緊急の時だけでなく、この張り方ができると何かと便利です。あせることもありません。
 読んで字のごとく、ハンドルは引いて上リムを押すのを同時にします。下のチップは傷付かないように靴に当て、リムが返るところには絶対顔を置かない。ハンドルを引く手は親指を必ず掛ける。特に下のチップはループが掛かっているのを確認してから緩める。慣れればストリンガーより簡単で安全で、真っ直ぐ張れます。

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