オールカーボンアローを作る(おさらい)

 前回、初めて使う矢をテストを兼ねて作ってみました。これも授業料と経験則の世界なので、あえて少し硬いだろうと思いながら「400」というスパインのシャフトを試しました。案の定、硬かったです。
 フィルムベインならハネが飛んで(取れて)わかるのでしょうが、これは↑2〜3回だけ射った矢です。プランジャーチップの部分のようですが、全部同じ場所に当たって(キズが付いて)いきます。ハネにも傷み(汚れ)が見受けられます。新しい矢はこんなことがすぐ見分けられて助かります。
 ベアシャフトチューニングは個人的には、その傾向を知る(硬めか柔らかめか程度)以上には信用していませんが、今回一応ベアシャフトも30mで射ったところ、左の的のゴールド付近に刺さるくらいに硬そうでした。(個人的には狙った的の青以内程度に入れば納得するのですが。。。) ただビックリすることは、ハネが付いているだけですごく悪い矢飛びでもなく、ゴールドくらいには当たることです。ハネの威力ですよね。(スパインが合っていなかったり、レストでのトラブルが起こっていても、気づかずに満足して使っているアーチャーは多いのでしょう。。。)
 それはともかく、そんなわけで「500」のシャフトを今度はインナーノックで、再度試すことにしました。そこで、これまでに書いてきたことですが、「矢作り」のおさらいとして重要な部分だけ書いてみます。詳細はこれまでの作り方をご覧のうえで、参考にしていただければ幸いです。では、、、
■まずはシャフトを切る。
 □まずはノック側を切った後で、自分の作りたい長さにあわせてポイント側を切ります。
 □必ず、両端(ポイント側もノック側も)を切ります。よくポイント側だけを切ってノック側を切らない矢を見受けますが、どのメーカーのシャフトもとりあえずは適当にカットして出荷しています。切り口が斜めの場合や輸送途中でクラックが入ることもあります。必ず、両端を切って、切り口をきれいにします。
 □たる型シャフト(EASTON社のACE・X10・プロツアーなどのことです)はノック側を切ることで、硬さが変わります。それによってスパインの調整もできますが、硬さを変えない場合であっても必ず数ミリはノック側を切り落としてください。製法上、出荷段階で切り口の処理がうまくなされていないことがよくあるからです。(それをしないで使っていると、ノックの差込口のカーボンにクラックが入ってくることがあります。)
 □たる型シャフト以外のシャフトでは、シャフトの前後はありません。ロゴマークがあることなどで前後(ポイント側とノック側)の判断ができるかもしれませんが、これは特に気にすることはありません。矢は消耗品です。ロゴマークは使っていれば消えてきます。最初から消したければ、前後逆に作れば早くロゴマークを消すこともできます。
■切り口をきれいにする。
 □切り口の「面取り」と「バリ取り」を必ず行ってください。どちらもほんの少しです。
 □面取りは、切り口の外側(カーボン層)を「500番」前後のサンドペーパーで、ポイント側ノック側ともに少し角を落としてやります。それによって使用によるカーボン部分のクラックを防ぐことができます。
 □バリ取りは、特にアルミカーボンシャフトの場合に重要です。シャフトの内側に、アルミの切りカスが残ることがあります。必ず除去しましょう。ただし、取ることに意識を取られ、何度も強くバリ取りを行うことがあります。そうすると非常に薄いアルミ層が切り口部分でなくなってしまい、特にポイント側で使用中に割れてくる(折れることも含め)場合があります。注意しましょう。
■ハネを貼る部分を荒らす。
 □ハネを貼る部分(接着面)をサンドペーパーで少し荒らし(細かいキズを少しだけ)てやってください。接着力が格段に変わってきます。
 □フィルムベインは関係ないと思ってられる方もいるかもしれませんが、フィルムベインでも接着力が変わります。
 □ノック側の面取りを、これで兼ねることにもなります。
■ポイントを取り付ける。

申し訳ありません。「オールカーボンシャフト」の場合は、こちらの方法をおススメします!

 □シャフトの長さが決まっていれば、ポイントとノック、どちらを先に取り付けてもかまいません。ただ、中の空気で押し出されるため、ポイントを先に取り付けた方が作業性はよくなります。
 □加熱はアルコールランプなど、あまり高熱にならないものを使い、決してシャフト部分に直接炎を当てないように注意してください。
 □必ずポイントの挿入部分全体を暖め、接着剤(ホットメルトなどのマツヤニ系)は流れるくらいに溶かし、接着面全体に塗布するようにします。
 □不要な接着剤は押し出されます。硬化後にカッターで取り去ればよいので、接着剤は多めにしっかりポイントを取り付けてください。
 □ノックを付ける前であっても、ポイントが押し出されることがあります。少し硬化するまで、ポイントを押さえた状態で待ちます。
 □ポイント交換の際も、ポイント先端に炎を当てて徐々に加熱します。その時、シャフト部分に指を添えて高温になり過ぎないように注意します。
■ノックを取り付ける。
 □ポイントが固定できたら、ポイントを取り付けます。
 □「Beiter」ノックは非対称型です。上下を間違わないように取り付けてください。
 □どの種類のノックであっても、取り付けた後は必ず真っ直ぐ付いていることを確認してください。インナータイプ(差し込み式)であっても、曲がって付く場合があります。
 □ピンノックの場合は、特にピンの取り付けに注意を払ってください。
■ハネを貼る。
 □必ず、接着面を脱脂してください。シャフト側は当然ですが、必ずハネ側も脱脂を忘れないようにしてください。
 □接着剤はアーチェリー用の「フレッチタイト」などを使います。速乾の接着剤(アロンアルフアなど)はカーボンを傷めます。
 □フィルムベインは接着剤ではなく両面テープで貼りますが、その場合でも脱脂することで接着力がアップします。
 □脱脂にはシンナーなどの有機溶剤は決して使ってはいけません。必ず「アルコール」(エタノール)を使用してください。もちろん、アルコールランプにも使えます。
 □接着剤が乾いたら、ハネの両端を再度接着剤で止めておきましょう。フィルムベインもテープでなく接着剤を使っても結構です。
 
 ということで、最後に一番大事なことは、切る時も貼る時も付ける時も、「当たれあたれ当たれ」と念じながら矢を作ることです。幸運を祈ります!

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