ブッシングの交換

 長くアーチェリーをやっていると、もちろんたくさんの道具を使うわけです。するとそんな中には、当然使い慣れた道具や定番、マイベストのような物も生まれます。サイトピン、レスト、タブ、そして矢などもその類です。
 そこで矢です。初心者を除いて、カーボンアローの時代にアルミアローを使うことはないのですが、インドア競技だけは特別です。そこで今でももちろん、インドアは鳥羽根を貼ったアルミアローを射ちます。そんなアルミアローも昔はいろいろなサイズや種類をテストし、使ってきました。確かに矢は実質ポンドや長さ、技術に左右されるためサイズでのマイ定番は難しいのでしょうが、それでも「X7-2014」は自分にとっての名器でありベストであり、最も使い慣れた矢です。
そんなインドア用のアルミアローが作り替える時期になったので、今回初めて「大口径シャフト」にトライしてみることにしました。
 余談ですが、今のアーチャーからすればアルミアローはすべてが大口径に思えるでしょうが、違います。実際にアルミアローの時代にアウトドアで使われたシャフトは、太くても「21径」まででした。「2114」くらいまででしょうか。そのため「大口径」と言う場合は「22径」以上のサイズを指します。1980年代後半になってカーボンアローがアウトドアで使われるようになることと並行して、インドアでは大口径のアルミシャフトが使われだします。最初はルール上の制限がなかったため24径以上のサイズも使われましたが、現在ではルール上の制約「シャフトの最大直径は9.3mmを越えてはならない」から、「23径」までのシャフトしか使用できません。それでも約「5mm」のX10と比べれば、倍近い太さになります。
 では大口径のアルミシャフトを選ぶ時の目安、ノウハウですが、もちろんここでも授業料と経験則は必要です。そのうえで、なんとなく感覚的に分かることがあります。アルミの「2014」は「1916」とスパイン的には同じで、ACEなら「520」、X10なら「500」、プロセレクトなら「210」がきれいに飛びます。ここでアルミの経験則でいうなら、「外径を一回り太くすれば、肉厚を1サイズ薄くする」というのがあります。だからこそ「2014」=「1916」あるいは「1816」は「1914」と同じであり、「2016」は「2114」と同じように使えるのです。あとは重めか軽めかの選択と少しの経験とノウハウと好みが加味されます。ということで、今回はチャート表を見ることもなく「2014」=「2113」=「2212」=「2311」の発想から、単純に「2212」を選んでみました。
 もうひとつ余談です。昔のアルミシャフトは今と違って、ノックを付ける側は穴が開いているのではなく「テーパー」と呼ばれるアルミチューブ自体がポイントのように尖らせて閉じられていました。そこにノックを被せて接着剤で固定するのです。その理由は、先に的面にある矢に後から矢がヒットした時に、ノックを壊してもシャフトには刺さらずにシャフトを壊さないためのアイデアでした。
 ところが1980年代に入ると、技術と共に的中精度も向上し矢を壊さないことはいいのですが、試合で1点を争ったりパーフェクトが目前になってくると、このことが災いしてきます。先の10点の矢に弾かれて9点に行く可能性が高まったのです。これは1点を争うインドアでは致命的です。実は今のように1的1射のルール(3スポット的)になったのは結構最近です。1980年代に登場した3スポット的も、当初それを射つのはコンパウンドアーチャーに限られていました。このことは幸運が味方しなければ、300点は出ないことになります。そこでプロアーチャーやパーフェクトを目指すアマチュアが考え出したのが、テーパーの先を切り落として穴を開けた上にノックを被せることでした。シャフトは継ぎ矢でダメになっても、10点は確保できるからです。
 このアイデアこそが、現在のカーボンシャフトやアルミシャフトに使われている「差し込み式」のノック形状に受け継がれているのです。ということで、現在では両端を切り落としたシャフトに「ブッシング」と呼ぶ、昔のテーパーを切り落としたようなパーツを付けるようになりました。そこにノックを差し込むわけです。
 少し前置きが長くなってしまいましたが、このブッシングにはいくつかのサイズがあります。カーボンアローにも使う比較的小さいノックが装着できるブッシングを、「UNI(ユニ)ブッシング」と呼んでいます。ところが、これが事前に装備されているシャフトは一般的には「19径」までです。20径以上のシャフトでは「スーパーUNIブッシング」と呼ばれる、穴の少し大きい(少し大きいノックを挿入する)ブッシングが標準装備になります。
 1スポット1アローなら、的面でのノックの大きさはあまり関係ないのですが、、、小さいノックを使いたいので、ブッシングを交換してみました。最初に付いている「スーパーUNIブッシング」を取り外して、「UNIブッシング」を取り付けるだけのことです。作業は簡単です。
 最初のブッシングはシャフトに接着剤で固定されています。加熱して引き抜く方もいるようですが、どちらにしても使わないパーツであり、シャフトの全長にも余裕があるので(これらの大口径シャフトは、最初の長さが30インチ以上あります)、手っ取り早くシャフトカッターで切り落とすことにしました。
 後はバリ取りと面取りを細かいサンドペーパーで行えば、そこにブッシングを差し込むだけです。サイズ的にはほとんど誤差もないので、キッチリ付きますが一応接着剤で固定します。これもポイントを固定する「ホットメルト」を使用する方もいるようですが、抜くことはないので今回は「エポキシ系接着剤」で完全に留めました。
 後はこれまでの紹介のとおり、ノックを付けて、シャフトカットして、ポイント付けて、羽根の接着面を荒らして、羽根を貼って、、、完成です。

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