パラボリックスタビライザーの組み立て方

 1995年以来多くのみなさんにご愛用いただいている「パラボリックスタビライザー」のセンター(APS)とサイドロッド(APS Junior)がマイナーチェンジしました。より一層、高精度で高品質、そして一層簡単に組み立てられるようになって再登場です。自分で製作することで低価格はもとより、何よりも自分にあった納得のいく道具が手に入れられます。
 ぜひ自分で作ることで、楽しい時間といっしょに納得と満足にトライしてみてください。
 ただし製作はすべて自分の責任で行ってください。簡単ではありますが、失敗しても文句は言わないでください。お願いします。すべては経験と授業料です。

 どんなロッドを組み立てる、あるいは修理する場合でもほとんどが「エポキシ系接着剤」を使用するわけですが、基本は「基本編」に書いてあります。ここでは新しくなったパラボリックスタビライザーでの特に注意するポイントだけを追記します。(実際にはこれまで以上に簡単にはなったのですが。。。)
 必要な道具は、「エポキシ系接着剤」「紙ヤスリ」「「つま楊枝」に「エンピツ」だけです。
 できるならスタビライザーの金具の接着部分を脱脂すれば完璧ですが、それは基本編をご覧ください。なお金具は一応洗浄は行っています。薄めた中性洗剤を使用しているので、もしシンナーやアルコールがなければ台所の洗剤を薄めた液で洗っても十分効果はあります。また金具を切削する時には、水溶性の油脂を使用しています。
 エポキシ系接着剤ですが、最近はどんどん性能も向上し、硬化時間の短いものも販売されています。スタビライザーの組み立てはそんなに難しくないので、今回は30分で硬化が始まる比較的速乾タイプの接着剤を使用してみました。
 
 最初に自分が希望するロッドの長さにカーボンシャフトをカットします。この時、複数のカーボンシャフトを同じ長さに揃えておくことがポイントであり、それができていれば後は簡単です。
 カットにはアローカッターがあれば一番簡単ですが、なくても棒状のヤスリでシャフトを切ることが出来ます。
 完成時のロッドの長さは、金具の長さとシャフトが挿入される長さでプラスマイナスがあります。金具をカーボンシャフトに入れてみて、長さを確認してください。
 
 次に挿入部分(接着面部分)のカーボンシャフトの表面を荒らします。それによって脱脂同様に接着強度が大きく向上します。
 実際にカーボンシャフトを金具に挿入してみて、接着部分(どこまで挿入されるか)にエンピツで印を付けます。
 後はその部分をサンドペーパーで荒らします。もしサンドペーパーがなければシャフトをカットしたヤスリで傷を付けても大丈夫です。
 これで下準備は完了。完璧です。後は実際に組み立てて、接着するだけです。
 
 ここで接着剤を使う前に、一度リハーサルを兼ねて組み立ててみてください。
 簡単に出来るはずです。まずは根本(ハンドル)側の金具にシャフトを全部挿入します。
 「APS」(センター)はその前に6本のカーボンシャフトを樹脂製のスライダーに通しておいてください。「APS Junior」(サイドロッド)のステンレスボールは根本金具に3本のカーボンロッドを挿入した後で、ボールを先端側からシャフトの間に滑り込ませてください。
 スライダーもボールも完成した後で、位置を動かすことができます。この時にはシャフトの真ん中か少し根本寄りにあれば十分です。
 
 もし一番難しい部分があるとすれば、「APS」の先端金具を挿入する時です。「APS Junior」はシャフトが3本なので、簡単にシャフトが穴に入ってくれるのですが「APS」は6本です。それらのシャフトをうまく穴に入れるのが少しコツがいります。ぜひ接着剤なしで、ここで練習してみてください。
 コツは根本に6本を挿入した後で、それらを少しずつ段違いに引き出しておいて、一本ずつ先端金具に入れていくことです。真ん中のシャフトが一番最初です。
 では、いよいよ接着です。エポキシ系接着剤は2液混合タイプです。2剤を同量取り出して、よく混ぜ合わせて使用します。
 
 ここで最も注意しなければならないことがあります。
 接着は根本金具側から先に行います。まず接着剤をつま楊枝で金具の穴に塗布するのですが、その後でカーボンシャフトを挿入しても↓接着面に接着剤が付いていないのです。
 シャフトの端(先)がせっかくの接着剤を擦り取って入っているのです。
 そこで、もしシャフトを出し入れしたり回転させてみても、接着面に接着剤が付いていないようであれば、再度穴にシャフトを挿入する前に、シャフトの先に少し接着剤を付けて挿入、出し入れ、回転させてみてください。
 必ず接着面(挿入部分)にちゃんと接着剤が塗布されていることを確認してください。
 根本金具はこれでいいのですが、問題は先端金具(ウエイト側)です。こちらは一旦シャフトが金具の穴から抜けてしまうと、挿入が難しくなります。そこで一旦組み上げたうえで、シャフトが外れないところまで何度か抜き差しして接着剤をシャフト面に広げてください。少し抜いて、つま楊枝で再度接着面に接着剤を付けて押し込むのも方法です。
 
 後は両端ともにシャフトをしっかり奥まで押し込んだら完成です。
 根本側を下にして立てかけて、接着剤の硬化を待ちましょう。速乾タイプであっても、使用までには1日はおいた方がいいでしょう。
 接着剤は少しはみ出します。しっかり接着するには仕方がないのですが、接着剤は硬化すると透明に近くなるので、ふき取るよりそのままの方がキレイに仕上がります。また、硬化してから不要な接着剤をカッターナイフで剥ぎ取ることもできます。
 完成まで、シャフトのカットが出来ていれば30分もあれば十分でしょう。簡単でしょ!
 
 先にも言いましたが、スライダーはフィストメルゲージをシャフトの間に入れて押せば動きます。ボールも少しシャフトを広げてやれば動かせます。出来上がってから、位置をそろえてください。なお、樹脂スライダーは弓の振動や使い方によって少し位置が動くことがありますが、ご了承ください。
 
 使用の際、ハンドルからの取り外しやウエイトの取り外し時にはカーボンシャフトやスライダーを持たずに、取り付けられている金具部分を持って行ってください。
 エポキシ系接着剤を取り外すのは加熱しかありません。もしシャフトを交換する場合はシャフトを再度使用することは出来ませんが、金具部分を加熱して抜き取り、ドリルの刃などで穴に残る接着剤のカスを取り除いて作りなおしてください。

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