マスターアイ

 人間には必ず「マスターアイ(利き目)」があります。両目を開けて、ちょっと離れた目標物を指差してみます。そして右目を閉じた時、目標物と違う所(もっと右の方)を指が指していれば、あなたのマスターアイは右目ということになります。マスターアイとは逆の目より視力が強く、視覚において主導的役割を果たす側の目のことです。
 一般的には右射ちのアーチャーにおいては右目がマスターアイであることが多いのですがまれに左目がマスターアイであるアーチャーもいます。このような場合、問題が発生します。なぜならアーチェリーという競技(技術)においては右射ちは右目で、左射ちは左目で的を狙うことが基本になっているからです。もし仮に、右射ちで左目を使って的を狙おうとすればその時のフォームは通常基本とされるフォームに比べて極端にアンカー位置を顔の左側に持ってくるか、あるいは弦サイトとサイトピンの位置を大きく変更しなければならなくなります。
 そしてこのどちらの方法であってもフォーム上からして、安定からは程遠い形になってしまいます。

 では、右射ちアーチャーが右目で的を狙うという前提に立って、そのアーチャーのマスターアイが左目であった場合はどうするのか?
 答えは左目をつむって(閉じて)射つことが最良の手段です。といっても、左目だけを完全に閉じる必要はありません。少しだけでも閉じることで左目の視力は減退し、視力の主導権は右目へと移ります。そしてもっと重要なことは、マスターアイは後天的に自分の中で変更することができるということです。左目を軽く閉じることの繰り返しの中で、アーチャーは右目の視界の中にあるストリング(弦サイト)やハンドル、そして的などの位置関係から自然にエイミングという動作の中では右目を主導的立場においてサイトピンとゴールドを見ることができるようになるはずです。ただし、左目を閉じる動作が簡単でないアーチャーにとっては射撃などで使われるように、眼帯のような物で左目を塞いでしまうしかないでしょう。

 ところで、ローカル試合で的と的の間隔が狭いために的間違いを避けるために、仕方なく片目を閉じることを余儀なくされる場面があります。しかし、このような場合を除いて、アーチャーはエイミング中は両目を開いておくことが良いでしょう。
 なぜなら、片目を閉じる動作には当然意識を伴うため不必要な緊張が顔面や首に生まれます。また、それ以上に片目を閉じた時にはエイミングしている側の目に、特に眩しさなどに対して視力を確保しようと、より一層負担がかかり疲れ易くなります。片目の時は両目の時以上に自分の身体の位置関係(傾きなど)を認識(自覚)し難い状況が生まれるのも事実です。できることならエイミング中は両目を開いてゴールドを見ましょう。

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