4枚バネのはなし

 「どうして矢のハネは3枚なのでしょうか?」、とのお問い合わせをいただきました。
 1976年全日本選手権 優勝はP16ソフトベインの「4枚バネ」です。
 なぜ近年考えなくなったのでしょうか、なぜテストしてみないのでしょうか?

 不思議に思ったことはありませんか。古代の昔から、なぜ矢のハネは3枚なのでしょうか? 洋弓も和弓も。そして、ロケットもミサイルも3枚バネも8枚バネもありますが、そのほとんどが4枚バネです。なぜでしょう? ご存知の方は教えてください。
 もし4枚バネと3枚バネで4枚の方が有利と考えるなら、大きな理由は「投影断面積」でしょう。2枚とそれ以外を比べるほどではないにしても、3枚より4枚の方が断面積の差はどの角度においても小さく、このことはアーチャーズパラドックスという蛇行運動を持つ矢においてはロケット以上に大きなメリットです。
 では単純に枚数だけか、ということになるのですが、アーチェリーの場合、まず蛇行運動とコマの原理による回転運動の必要性、と横風(流される問題点)のバランスです。この点から考えれば、単に枚数を選択するだけでなくたぶん4枚バネを使用するなら、それまでの3枚バネよりも小さいハネで4枚にすれば十分であり、そうすることが必要でしょう。小さいハネで同様の修正力と回転数を得られるなら、横風を受けるリスクは小さくなります。流れ難く、風に強く、そして同様の性能を有するのが4枚バネということにはなりませんか。理論的にはデメリットがないのです。
 しかし実際には問題があります。まず重さです。フィルムベインならさほど問題にはならないでしょうが、ゴムやビニール製のハネではノック側が重くなります。トップヘビーを望むなら、一層重いポイントが必要なために、矢の総重量が増えてしまいます。この点については相対的に検討する必要はあるでしょう。

 そしてそれ以上の問題は、近年の細いカーボンアローでは現実問題として4枚のハネが貼れるのか、ということがあります。もしこれが阻害要因なら新たな発明が必要かもしれません。しかし、問題はこの程度ではないでしょうか。
 話は戻りますが、ハネの大きさ(面積)は的中にアーチャーが考えている以上に大きな影響を及ぼします。そして多くのアーチャーが考えるように、小さいハネの方が大きいハネより当たると考えるのは大きな間違いです。(インドアは特殊であり、アウトドアの話です。) これは高価なシャフトを買うよりもはるかに安くで確認できます。一度ハネの大きさを変えてテストしてみてください。無風で調子のいい時、冷静にグルーピングの大きさを確認すること(サイト位置が下がったり変わることや、他人と違うものを使うことは的中性能とはまったく無関係です。)は、高価なポイントを買ったり、当たらない練習を無心でするよりも重要なことです。
 そこで、もうひとつの問題です。もし4枚バネが的中性能に悪影響を及ぼすとするなら、アロークリアランスがあります。ここでいう4枚バネは等間隔ではない貼り方もあるのですが、原則として投影断面積から考えて90°×4枚です。そうすると3枚の120°よりハネがレストに近づくためにスパインがあっていなかったりチューニングがしっかり行われていない場合は、レストにヒットしてのトラブルの可能性が高まります。(古来からの3枚バネはここに起因するかもしれませんね。) しかしこれはよほど微妙な矢の選択や曖昧なチューニングでなければ回避できる問題です。
 他のページにも書いてありますが、個人的には昔X7-2014という名機と呼べるシャフトに長年P26のハネを使用していたのですが、その理由は50mでP26なら確実にゴールドに入るグルーピングがP23にするとワンリング広がって8点までのグルーピングを示すのです。確実にバラけるのです。それが分かるのは正しい練習と向上心です。今のカーボンアローでもP16よりP23の方がグルーピングは小さいのです。安心して射てます。↑この時もそれをテストしていました。
 ということで、矢のサイズもハネの大きさも個人個人で違うのです。チャンピオンのセッティングがあなたのベストセッティングとは限りません。みんなが使うから、あなたにもあうというものでは決してありません。すべては向上心と試行錯誤と情熱、授業料と経験則なのです。
 一度テストしてみてください。

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