ではなぜリリーサーでは完璧ではないのか? それはマシンのリリーサーは完璧すぎるリリースしかすることができないからです。その結果、矢にはパラドックスが発生しないのです。 |
例えば、西洋のアーチェリーでは矢を弓の左側につがえます(右射ちの場合)。ところが、日本や韓国の伝統的な弓は矢を右側につがえます。この違いの理由はアーチェリーが弦を右側からつかむのに対し、和弓は親指を使って左側から弦を引っ掛け引いてくるところから生まれます。要は、洗濯バサミや子供の弓ごっこのように弦を両側から挟み、真っ直ぐ真中から解除できればストリングの蛇行は起こらないのですが、片側からの解除によって必然的に弦は蛇行を起こしアーチャーズパラドックスを発生させ、その最初の力がハンドル(弓)を押すというわけです。(だからコンパウンドボウにはクッションプランジャーを必要としないのです。) |
ということは、人間(アーチャーが手で)が射つ弓においてはアーチャーズパラドックスなどの要素が予測事項として織り込まれている必要があります。にもかかわらず、シューティングマシンはその状況を作り出せないのです。例えば同じリリーサーでも、多くのコンパウンドアーチャーが使うロープ式のタイプではフィンガーリリースに比べれば皆無に等しいかもしれませんが、それでも片側からロープを解除するために弦の蛇行は起こります。 |
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そのために、実際にはこのような完璧ともいえるシューティングマシンと併せて、アーチャー(人間)によるテストが繰り返されることによって初めて多くの人にに受け入れられる弓や道具ができあがるのです。 |