プラスチックハンドル

 どうしてなかったんでしょうか。
 昔、ヤマハのワンピースボウには「WPC」と呼ばれる、木にプラスチック樹脂を注入した素材が使われていました。また、ワンピースボウの後期にはプラスチックを積層(張り合わせた)させた透明の弓もありました。ところが、1970年代から始まったテイクダウンボウの時代になってからは初期にあった一部の木製ハンドルを除いては、金属が使われてきました。マグネシュームやアルミニュームといった素材の違いや、ダイキャストやNCといった製法の違いはあっても、それらは一貫して金属でした。また、一時期トライが行われたカーボンハンドルは何よりも価格の高さから、現在では性能を差し引いても現実味を帯びるものではありません。
 そんな中で商品化されたのが、このフランス製テイクダウンボウ「Rolan」です。
 ちょうどオールカーボンアローが量産に向き、品質が安定し、何よりも数量を多く作れば作るほど価格が下がるのと同じように、このハンドルは金型に樹脂を注入してダイキャスト製法のように生産されます。
 しかし樹脂のハンドルではカーボン素材のような高剛性を求められないため、競技用のような高ポンドでは耐久性や精度が望めません。そこでひとつの盲点でもあった「初心者用」「練習用」に対象を絞ったのです。

 すでに海外では市場にサンプルが出回っています。日本にも近いうちに入ってくるのでしょうが、本当に常識的な価格で販売されることを切望します。例えばハンドル単体で¥?000といった価格です。
 なぜなら競技用もさることながら、これからアーチェリーを始めようという多くのアーチャーの継続を断念させている原因のひとつがここにあるからです。確かに初心者であれば値段の高さにステイタスを求めることもないでしょう。しかし、業者の思惑と都合だけで輸入が行われなかったり、金属ハンドル並みの価格設定がされるのであれば激減が続く日本のアーチェリー界の将来はどうなるのでしょうか。今こそ商売や儲けではなく、本気で普及を考えてはいかがですか。目先の利益やシェアの取り合いが現状を生み出したのです。

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