X10用「PS10-Hポイント」

 非常に好評です。すでに予想以上に多くの皆さんにお使いいただき、高評価をいただいている「PS-Hポイント」です。
 このポイントは「VAP」とEASTONの「ACE」に使用できるのですが、当然のように「X10」(=プロツアーもですが)に使える同様のポイントが欲しいとの要望をたくさんの方からいただきます。
 そこで、、、ではあるのですが、これが簡単ではありません。この「H」ポイントはHeavyのHでもあるのですが、通常のポイントより重いことが(それでいて高価でない)評価されている一つの理由です。ところがX10用でヘビーにするには、タングステンなどの素材(を使えば非常に高価です)を使わず、同じステンレス素材のままだと簡単ではありません。その理由は「細さ」です。X10はACEよりシャフト自体が細いからです。
 例えばこれは同じ「100グレイン」の純正X10用(6.47グラム)とACE用(6.48グラム)のポイントです。これだけX10用は先端部分を大きく(長く)し、なおかつ軸も長くなければ同じ重さにはなりません。ACEの先端部分は「16ミリ」、X10用は「26ミリ」です。PS-Hポイントの場合はこの部分をX10用と同じ26ミリにしました。
 ではX10用を重くする方法はというと、「先端を26ミリ以上」にするか、「軸を伸ばす」か、「先端形状自体を工夫」するしかありません。ここで「26ミリ」という数値にどれだけの根拠があるかというと、これは26ミリ=「1インチ」で、きれがいいという以外に物理的な理由はないと思います。この長さが空力的にあるいは強度的に最良ということではありません。強度や耐久性を考えれば26ミリはX10の軸の細さを思えば、長すぎるでしょう。しかし、一応メーカーの純正パーツです。ではメーカー以外がオリジナルで26ミリ以上のポイントを作ると、失礼ですが必ず曲がったというクレームが来ることが予想できます。チューニングの適切さや畳の硬さの問題は抜きにして、「ポイントが悪い」という話です。そんな時、たとえユーザーの使い方が悪かったとしても、「純正品と同じです」という説明しか反論(?)の余地がありません。そんな単純な理由から、今のところ先端長さはEASTON同様に「26ミリ」を最長とします。
 次はシャフトの中に入る軸長さです。ここで伸ばすことは製作上ももっとも簡単なのですが、先端側とは逆に伸びることで重心位置を前方に移動(トップヘビーにする)させるには、先端ほどに効果はありません。それと実際問題は別にして、感覚的にシャフトが硬くなると感じるアーチャーがいることも事実です。という理由から、軸を伸ばすにも限度があります。
 となると、重くするには「先端形状」を工夫するしかありません。これによって、これまでと総重量は同じもより効率的にトップヘビーにすることができます。
 そこで最初はPS-Hと同じ形状から始め、重さを勘案しながらいろいろ試行錯誤です。左がVAP/ACE用と同じ形状。右が少し形状を変えて重くしたものです。
 VAP/ACE用の「PS-Hポイント」はポイントだけのフルレングス(ブレイクオフしない状態)で「180グレイン」ですが、この「PS10-Hポイント」は少なくとも「150グレイン」は確保したいと思っています。ところがこの右の形状でもまだそこまで行きません。
 最終的に行き着いたのがこれです。先端26ミリ、フルレングスで「150グレイン」。10グレイン刻みのブレイクオフで最軽量が「100グレイン」。先は少し長くなりますが、「5グレインリング」を最大4個装着可能にしました。1個装着で5グレイン刻みのチューニングができます。
 現在、実射を含め最終テストに入っています。仕様はまだ決定ではありませんが、今しばらく、お待ちください。。。。美しいでしょう。もちろん製作は日本の最高技術、新潟県燕市で作っています。

 テストも終わり、仕様が決定しました。100グレイン以上ですが、同じ重さでもよりトップヘビーにできる。リカーブの方からも昔のクリッカーポイントのようにクリッカーがチェックしやすい。などなどのコメントをいただいています。
 「5グレイン」のPS10用リングは最大で4個(20グレイン)装着可能になっています。ただし、軸長さによってはポイントの接着力が落ちる場合やチューニングによっては曲がりやすくなる場合もあります。正しいチューニングを前提にリングの使用は判断してください。なおリングを1個装備することで「5グレイン刻み」のチューニングが可能になります。なお、このリングは「PS10-Pポイント」にも共通で使用することができます。
 これによって「X10/X10 Protour」に使用できるポイントは、プロセレクトオリジナル↑3種類になりました。
 実はこれまで個人的に「レギュラーポイント」が、他の純正ポイントなどよりも遥かにお気に入りだったのですが(だから作ったのですが)、なぜかこのポイントは皆さんの評判が今一でした。理由は先が尖っていないことです。細いX10が畳を貫通して文句を言う割に、貫通がないこのポイントは精悍さが欠けるのでしょう。(ACE用に作ったこの種のポイントは確かに逆に跳ね返り矢が出ました。しかし、細いX10では跳ね返りはほとんどありません。)
 これはあくまで個人的な感覚と経験則ですが、大昔にここに書いたように先が尖った砲弾型は空気の中を泳ぎます。的中性能が優れるとは思えないのです。そこで昔は先を切り落としたポイントなども自作して使っていましたが、、、
 今回この「PS10-Hポイント」を作ったことで、この意味が分かっていただければ幸いです。この形状は先に書いたように重さ確保のために結果的にこうなったのですが、それは偶然レギュラーポイントと同じ先端(肩の部分)に空気抵抗があるポイントとなりました。もし使われる機会があれば(レギュラーポイントでもいいのですが)、同じ重さでもよりトップヘビーになるとか、重いポイントであるとかの理由だけでなく、「ポイント先端に抵抗がある」という他のポイントにはない特徴(アドバンテージだと思っています)があることを思い出してください。
 ということで、なかなかですよ!

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