通 し 矢
国宝 三十三間堂

−−−→ 正月に京都に行く機会があれば、アーチャー必見のお勧めスポット ←−−−

 東京の人が東京タワーに昇らないように、京都に居ると日々いろいろな行事が過ぎていきます。しかしそんな中でもこれだけは一度見に行きたいと思いながら、いつも翌日の新聞を見て思い出したり、分かっているのにインドアの試合が入っていたりと何年も何年も行く機会がありませんでした。「三十三間堂の通し矢」です。
 行けなかった言い訳のひとつに、昔は通し矢といえば1月15日の成人の日と決まっていたのですが、いつの頃からかハッピーマンデーのお陰で開催日がバラバラになってしまいました。今回知ったのですが、今は1月15日に一番近い日曜日に開催されるらしく、今年は1月17日でした。
 普段はお客さんを連れてよく行く三十三間堂ですが、なにぶん「通し矢」は初めてです。京阪電車の社内吊りなどには「9時」からと書かれていたのですが、一応事前に電話で聞いてみました。
 「開門」は朝の9時ですが、試合(?)は開会式の後8時半からとのことでした。京阪七条に着いたのが8時35分。三十三間堂までは、そこから歩いて10分も掛かりませんが会場に着いてみると、もう試合は始まっているし、中にも入れるし、結構な人だかりです。
 「第60回三十三間堂大的全国大会」が正式名称でした。この日だけは三十三間堂(蓮華王院本堂)の中が無料拝観できるとのことで、そのお堂が開くのが9時でした。試合会場はお堂の外の庭なので、9時前から人だらけというわけです。
 そしてビックリ(当たり前なんですが)。いつも新聞の写真やニュースの映像で観るのは、晴れ着姿で弓を射つ女性のイメージしかなかったのですが、射っているのは男ばかり。それも片肌脱いだ(肌抜きと言うみたいです)おにいちゃんもいたりで、ちょっと様子が違いました。。。

 ここからはパンフレットと参加者に聞いた情報ですが、、、出場資格は「開催年度に新成人となる者で、全日本弓道連盟会員で初段以上を有している者」及び「称号者」(錬士・教士・範士)ということで、男女は問わないわけです。観ているとほとんどが大学クラブ単位での参加のようで、日本中から来ているようでした。
女子906名、男子948名、称号者200名の合計2000余名の参加と、たぶん和弓では大きい大会なんでしょう。、運営は京都府弓道連盟の方(みんな黄色いウインドブレーカーを着てました)が仕切っていましたが、ほんと大変そうでした。
 で、話は戻って、「服装規定」(?)ですが、男女共に和服でも胴衣(ユニフォーム?)でもいいらしいのですが、この大会に限っては女子は「振袖袴」も可ということです。そこでついつい振袖姿の新成人女性がニュースに登場するというわけです。
 しかしそういえば、女性で胴衣の選手は一人も見かけませんでした。この大会での女性のユニフォームは、みんな振袖に袴ということのようです。そこで着付けにも時間が掛かるのでしょうし、それに加えてキモノの場合はたすき掛けが義務付けられているようで、試合前には「タスキ掛指導所」もあって、服装検査(?)にすごい行列です。そこで仕方なく、女子はゆっくり男子の後に試合というわけです。成人男子が8時半開始ですが、成年女子は11時20分からの予定です。その後、2時20分からが称号者です。
 となるとお分かりでしょうが、約950名が8時半から11時半までの約3時間で射ち終わらないといけないわけです。正直これは流れ作業です。称号者は79センチの的ですが、成人男女は100センチの大的を60mの距離(遠的)から射ちます。射つのは1人2本(一手)だけです。プラクティスなしの、たった2本の1発勝負です。
 60m先の的は4的。1的3名で、12名がどんどんドンドン射っていきます。
 2射的中(一手皆中)すれば予選通過なのですが、なかなか2本が的に当たる選手はいません。弾道を見ていると三十三間堂の軒よりも低いのですが、そこは和弓にアルミ矢、そして60mで寒いとなると、上に外すよりどちらかと言うとほとんどが届きません(すいません)。的中は60m先の的横のつい立の陰から確認して、当たると先にその的の色が付いた棒を上げるのと、選手の後ろで双眼鏡で見ている観的(?)の双方で確認しているようなのですが、、、よくわかりませんが、間違いはないのでしょう。ともかく、オートメーションでスムーズに進行していきます。
 行射については、1)射場に入場したら、ただちに全員が取りかけて下さい。 2)「始め」の合図で、間をおかずに打起こして下さい。 3)甲矢が射終われば、ただちに乙矢を行射して下さい。 そして、一立2分30秒です、と書かれていましたが、実際2射するのに、だいたい2分以内のようです。
 立ちに入ると次の選手(列)は後ろの腰掛でスタンバイです。だいたい3列が控えています。そこで心配になるのは射った矢の行方なのですが、列の最後の選手が射ち終わると的前に赤いラインが立ち上がり、連盟の方が何人も走り出てきて矢を拾い(?)ます。全部回収し終わると、次のスタートです。この矢なのですが、1立で24本は射たれるのですが、なくなる矢はないのかと、これまた心配です。見ていると少し遅れて選手控えの外にある箱に、役員の方がゴソっと持ってきます。それを選手やクラブの人が探して持っていっているようなんですが、、、アーチェリーのように名前までは入ってないようですが、よく分かりますよね。
 お堂の側から唯一見れる軒下や会場横のスペースは、10時を過ぎると知らない間に人だらけです。観光バスで観に来るツアーがあったり、選手の親戚縁者や友だちで、ともかく会場はごった返してます。会場の横では準備や片付けの選手がいっぱいですし、和弓のショップも出ていろいろ販売もしています。お堂の裏には露店も出て、いろいろ食べるものもあります。
 と、そんなこんなで、通し矢初見学は成人女性が始まる前に十分堪能したので、早々に退散しました。
 というわけで、冬の京都観光やお正月の風物詩で観に来られる方は、振袖女性でなくていいなら朝一番の見学をオススメします。日にちも間違わないように、よろしく。
 言い忘れましたが、午後の2時55分からは決勝があります。朝の予選で2本的に乗った選手が予選通過者です。  決勝のルールは「射詰競射」というようですが、1本勝負で外した者が脱落していき、最後まで的中した選手が優勝となるようです。
 ちなみに入賞者以外でも、参加者全員に賞状と記念品が授与されます。

 こりゃアーチェリーより弓もユニフォームも売れるわ。アーチェリーのように、和弓プロショップもブースを出してました。 
 ところで、京都の人は京都タワーには昇りませんので。。。。

copyright (c) 2010 @‐rchery.com  All Rights Reserved.
I love Archery