VAPに「アウトノック」を付ける

 VAPのシャフトには標準装備でBohningのFノックと呼ばれる「インノック」が付いています。これは差し込むタイプのノックで、こちらにもあるようにACEと共通で、Beiterのインノックも使用できます。また、これとは別に、専用のノックピンもあり、これによって一般的な「ピンノック」を使用することも可能です。
 では「アウトノック」(シャフトにかぶせるタイプ)はというと、メーカーが限られ、「Beiter」(バイター)製くらいしかありません。その理由は、インとアウトのノック形状を考えると、インは単純な割り型で製造できるのに対しアウトとなると形状が複雑でコストも掛かり、金型自体の精度や品質管理も要求されます。そのため、この分野を専門とする「Werner Beiter」社に限られてくるというわけです。
 そしてもう一つ。インノックはシャフトの内径に依存するのに対し、アウトノックはシャフトの外径に依存します。ノックの製法同様、内径はカーボンを巻き付ける芯の寸法になるのですが、外径はできあがったシャフトに研磨を掛けたり、樽型の特殊な形状であったりと寸法が一定ではありません。そのため多くのサイズを持てる(作れる)のが、専門メーカーであるBeiterという事情もあります。
 現にBeiterの小さい溝(#1)の「アウトノック」だけでも、これだけのサイズがあります。これはアウトノックの穴の直径で、シャフトの外径に対応します。しかし実際問題として、例えばX10のシャフト外径「4.50」ミリ、ACE「5.20」ミリとはいっても、先に書いたように矢のサイズ(スパイン)やノック側のカットによって多少のバラツキはでます。そこでメーカーでもこのようなお願いをしています。
 
 そのうえで、インノックがいいかアウトノックがいいかはスタビライザーのブッシング同様に好みの部分でもあるのですが、アウトノックは見えやすく、光りやすいので、的面での視認性の良さから使うアーチャーが多いのも事実です。
 そこでVAPをお使いのアーチャーからも「アウトノック」を使いたい、とのご要望をいただきます。しかし、ACEやX10でもシャフトサイズによってノックの嵌合にバラツキが出るわけで、最初からサイズによって外径の異なるVAPは1サイズでは対応できません。そこで今回、Beiter社の協力も得てこのことを検証してみることにしました。
 VAPは内径はすべて同じですが、外径(インチ)は異なります。矢印の太さがスパインによってこのように異なります。日本で使われるサイズは主に「500〜1000」です。
 そこでまず、Beiterさんからもらったアドバイスとサンプルです。

The sizes are

 500 - diam. ~ 5,54mm - fitting nock is 2200 (#1 or #2)
 600 - diam. ~ 5,45mm - fitting nock is 5,48 (#1 or #2)
 700 - diam. ~ 5,55mm - I have no shaft to try...maybe the nock 5,5?
 800 - diam. ~ 5,38mm - no out-nock fit
 900 - diam. ~ 5,31mm - fitting nock is 2100 (#1 or #2)
1000 - diam. ~ 5,25mm - no out-nock fit

Fitting in-out nock for these sizes: 2-65X1, 2-65X2 and 2-65Xh.

Mit freundlichen Grüßen / Best Regards
Fa. Werner Beiter
Daimlerstr. 18
D-78083 Dauchingen
 

 そして実際に取り付けてみて、いろいろ試した結果、、、

 これらのサイズの「アウトノック」が問題なく「VAP」に使用できることが確認できました。ちなみに「ACE」でもこのような問題がありますが、この「VAP」については、「1000」が少しゆるいかなと感じる程度で、その他はまったく問題を感じません、ピッタリでした。
 「AVIA, AFC」とあるのは現在は生産を終了しましたが、以前の「プロセレクト/アヴィア」のシャフトのことで、「210」と「220」のノックが「VAP」にもそのまま使用できるということです。

 ということで、よろしくお願いします。

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