振動止めと座布団

−−−−−皆さん、振動というのは少なければ少ないほど良いと思ってはいませんか。

ストリング面に付ける振動止めの機能は、ストリング面の振動を早く抑えることにあります。
長いタイプや、それにプラスして複数個取り付けている方もいますが、その影響のプラス・マイナスについて知っておく必要があると思います。
インパクトの打球感は、衝突の衝撃感と言い換えることができますが、振動止めを付けることで、それを小さくすることができます。
それと同時にインパクトの音も吸収して、打球音がかなり小さくなります。
衝撃が小さくなるのは良いことのように思えますが、実際はそうとばかり言えません。
人間の身体はインパクトに反応して、反射的にボールをコントロールする機能を持っており、その時の情報量が少なくなると、反射が上手く機能しなくなる場合があります。
身体に伝わる衝撃と耳から入る衝撃音は、身体の反射にとって重要な情報源になっており、それが小さくなることで、反射がきちんと行われなくなることが考えられるのです。

昔はマイナーな存在だった振動止めが常識的な存在となったのは厚ラケ登場以降です。
それは同時に、テニスエルボーの拡大時期とも重なります。
初期の厚ラケは超刺激的な打感の硬さを持っていましたが、現在の厚ラケは衝撃吸収性が高く、当時とは大きな違いがあります。
さらに、厚ラケそのものの使用率も低下の傾向にあり、フレーム剛性の低い薄いラケットが増えています。
そういうことから、振動止め=オールマイティという考え方は、少し改めても良いのではないでしょうか。
振動止めはその長さによって吸収機能の大小が判断できます。
長いものほど吸収して、小さなものほど吸収量が少なく打感が残ります。
それを前提にして、振動止めの大小で入ってくる情報量を調整するという考え方をしてみてはいかがでしょうか。
もちろん、腕に痛みを感じている場合はこうしたトライアルは避けるべきですが、特に支障がないのであれば、取り外したり、小さいものに取り替えてみても良いでしょう。
それによって、ズルッとしたあいまいなインパクト感覚から、クリアなインパクトに移行して、ショットの切れが増すかもしれません。
いわゆる「タッチが良くなる」という状態です。
インパクトの力の入れ加減、タイミングに微妙なズレを感じている場合などは、治療方法として有効でしょう。
 
(2013/04/11 19:28), S Pon wrote:

テニスのラケットについてのブログなんですが、これはリムに付ける毒キノコみたいなやつにも学べるものでしょうか??!
 
 こんなメイルをいただきました。
 アーチェリーの専門家ではありますが、テニスは素人なので一応テニスの専門家に聞いてみたのですが、ここに書かれている内容はほぼ間違いではないようです。
 そこでPonさんとのやり取りの一部ですが、、、、
 
 >最近、ダンパー(昔でいう「TFC」)をセンターロッドやサイドロッドとハンドル本体の間に使うことが少なくなりました。その分、ハンドルダンパーとでもいうのでしょうか、可動式の短いスタビライザーをリムセーバー同様にハンドル上部に付けたり、ダンパーウエイトと称してロッド先端部分に付けることが増えています。では、例えばこれらの可動部(ダンパー)を取り外して射ってみるとどうでしょう。あるとないでは、弓の音やシューティング感覚、エイミング感覚が異なります。
 個人的な良し悪し、好き嫌いは別にして、、、ある程度の長さのあるスタビライザーの場合は可動部がない方がシャープです。手の動き(震えも含め)と弓(サイトピン)の動きがズレることなく連動します。それに対して可動部があると、ソフトあるいはマイルドな動きにはなりますが、エイミング時の動きが手の動きにワンクッション入る(遅れる)感じがあります。ただし微振動は吸収してくれるので、狙いやすくはなります。もちろん音も、あるなしではここでいう「シャープ」を鋭くと読むか、きつくと読むか、「ソフト」「マイルド」をまろやかと読むか鈍く、遅くと読むかの違いのように、どの表現をとるかは個人の好みの部分です。
 
 >ある程度の長さのスタビライザー、「センターロッド」のことですが、センターはダンパーの有無だけでなくダンパーのない場合はロッドそのものの性能が現れます。(判るアーチャーには体感できます) ロッドの性能とはデザインや値段ではなく、軽さも価格も最重要ではありません。剛性や振動吸収、減衰率にこそ価値を見出すべきです。ただし長くても12インチまでのサイドロッドは、ロッドの性能を問うほどにたわむ(震える)こともないので、軽さやダンパーの有無の方が重要かもしれませんが。。。
 
 >ちょっと違う話ですが、、、メーカーがリムを作る時、高ポンド(例えば46ポンドや48ポンドの表示)のリムと低ポンド(例えば24ポンドや26ポンドの表示)のリムでは、どちらが作りやすいと思いますか?
 多くのアーチャーは強いリムの方が作るのが大変と思っているでしょう。ところが、高ポンドのリムを作る方が特に競技用になればなるほど簡単なのです。折れる折れないといった耐久性も含めて、簡単です。それに対して低ポンドは難しくモデルによっては低ポンドを作れないものもあります。
 高ポンドはカーボン素材なり芯材なりの量や反発力を上げれば簡単なのですが、低ポンドはそこに捩れ剛性や強度を維持しながらポンドを落とさなければならないので、非常に難しくなります。仕様(モデル)によっては、性能もそうですが最小限のカーボン量でもそのポンドまで落とせなかったり、カーボンの本来の性能が維持できないといった物理的問題も起こります。
 ではそんなリムも含めて、一般的にリムをテストする時に何ポンドくらいのリムでテストするのがいいと思いますか? テストシューターが使える、使えない(強すぎる、軽すぎる)の体力的な部分は無視したとして、表示ポンドで38ポンドや40ポンドくらいがもっとも適しています。それくらいの強さが最もそのリム(仕様)の性質(性能)が現れやすく、射つ側もそれを評価しやすいのです。
 
(2013/04/12 16:04), S Pon wrote:

特に気になった点は、音と衝撃に体が反応する、だからそれが消えてしまうと体の反応が鈍くなる、というところでした。
普段自分が射つ弓を思い浮かべて、試しにフォームコアのリムを射たせてもらった時の体の反応を思い起こせば、確かにそうかもしれないなと思います。射つ瞬間の「バンっ」と左右に押し手と引き手が分かれる、最後の的に押し込むような感じがフォームコアのリムだと、なんだかやりにくいなと思っていたんです。
自分の中で合点がいった気がします。
ありがとうございます。 

-------- Original Message --------
Subject: Re: 振動止め
Date: Fri, 12 Apr 2013 18:39:51 +0900
From: archer <archer@a-rchery.com>
To: S Pon 

で、アーチェリーの専門家としての個人的意見は、、、
ダンパー等は弓のテストをするときには、その対象を見極められないので、使うべきではないと思います。本来の性能や性質が、ダンパーが間に入ることで見えなくなります。ダンパーのテストならいいのでしょうが。それと注意しなければならないことは、弓の性能は振動の小ささや音の静かさがすべてでもなければ、小さければよいというものでもないという点です。
そのうえで、テスト以外ではどうかというと、そんなものを使わないと使えないような製品は使いません。。。。
乗り心地の悪い車に、シートに座布団を敷いて乗るようなもんでしょ。最近は座布団付きの車が増えているようですが・・・。
 
 すいません。ただそれだけですぅ。。。

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