ゴルゴ13

一射一生

At Pin-Hole

話の大筋は、FBIの取り調べを受けていたゴルゴ13にCIAからハイジャッカー狙撃の依頼がきます。どうしても失敗は許されない場面。距離1020m、風速6m、気温16℃、湿度60%。残された時間は約3時間。釈放されたゴルゴ13が向かう先はデイブ・マッカートニーの銃工房。

試射をしたゴルゴ13に向かって
「いやあ、これであなたが本物のゴルゴ13だということを私も信用しますよ!」
「試したのか?」
「いえいえ! というより、身分証明書を見せていただきたかっただけですよ!」
「・・・・・・・・・・・」
「とにかく・・・お目にかかるのは初めてですからねえ・・・・ ごぞんじのとおり、このダラスの町はずれエルム通りでジョン・F・ケネディが暗殺されてから銃砲の取り締まりが・・・・きびしくなりましてね。われわれもこのとおり地下へもぐらざるをえなくなったのです・・・・地下へもぐってまで、この商売を続けている理由はかんたんですよ。ライセンスを持たずに、ガンをほしがる人たちがこのアメリカには多いし・・・・またそういう人たちのほうが・・・・何倍も高く買ってくれるもんですからねえ・・・・」
「ほかのを見せてもらおう・・・」
「え!? ヘンメリーが気に召さぬというんですか!? スイス製の世界的名銃ですよ!?口径3006、最大射程3500メートル、目視有効射程500~800メートル、初速1秒800メートル、貫通力は300メートルで95センチの白松板を射ぬこうというんですよ! いったいこの銃のどこが気にいらぬというんです!?」
「せめて・・・・銃身長が80センチほしい・・・・」
「長い銃身を切りつめろという客は多いですよ! 持ち運びがべんりですからね。たいがいそういう人たちは、おまわりに追っかけられる時のことを考えるのでしょうが・・・・あなただってまさかピューマを撃つわけじゃないんでしょう? なんてったってあなたほどの腕ならば・・・・さほど銃にこだわることはないと思いますがねえ、いいものなれば・・・・・・」
「わざわざここまで来てこの辺のものを一丁いただきます・・・・と買っていく客もあるのか?」
「・・・・・・・・・・・」
「銃も弾丸もそれなりのものが・・・ほしいのだ・・・・」
「い、いったい・・・・ターゲットはなになんですか?」
「1キロ先の・・・・フットボールだ!」
「おおっクレージー!! ふ、ふつう30口径の銃で、150グレイン弾を撃てば500メートル飛ぶうちに2メートル半以上も弾丸は沈むんですよ! 200メートルの射程で照準ゼロ規正をしておいた銃で、500メートル先の標的を狙って撃てば・・・・目標の1メートル半以上も下に着弾するわけだ! そ、それだけじゃないっ、風速、気温、湿度も着弾を狂わす! た、たとえば・・・風速4メートルの横風の中で重弾丸を発射すれば・・・100メートルで2センチ! 500メートルでは68センチ! 1キロになれば実に3メートルの偏差が生じてくるんだ! ク、クレージーだ! まさにクレージーだ! まるでピンホールを狙うようなもんだ!」
「だから、それだけの銃と弾丸がほしくて、おれはここへ来た!」
「ロ、ロケット弾だって1キロ先のフットボールに命中させるほどの精度は持ちあわせていない!」
「わめくな、デイブ! あんたの技術のほどを聞いたからこそ、ここを選んだんだ・・・おれの注文に・・・イエスかノーか!? はっきりしろ、時間がないんのだ!」
「ヘ、ヘンメリー・ワルサーを、」
「土台にしてつくるより・・・なさそうだな・・・・」
「3日待ってもらえれば、できるだろう・・・・・」
「3時間! 3時間以内に作るんだ!」
「さ、3時間!?」
「銃に1万ドル、時間に1万ドル払う!」
「し、しかし・・・・」
「おれの聞いているのは、イエスかノーだ!」
「わ、わかった。すぐにかかろう。ほかに聞いておくことは!?」
「口径は30-06、型式はボルトアクション単発がいい。撃発装置はエレクトロン・パーカッション。それもプッシュ・ボタン式を取りいれてくれ。しかも鳥の羽根がふれただけで発射できるくらい軽くセットするんだ・・・・トリガーを引くより反動がすくなくてすむ。」
「なるほど・・・・こちらで0.5ミリぶれても、間違いなく標的には当たらないからな。」
「それから薬室は大きくしてくれ! 超ロングマグナム弾を使う!」
「え!? じゃ、た、タマも特別製か!?」
「そうだ火薬量も多く、弾丸も重いほうがいい・・・鉛とステンレスでつつんだ弾丸なら、より遠く飛び、貫通力も強いだろう!」
「3時間で弾丸まで作れるもんか!」
「弾丸は1発あればいい!」
「1発!???」
「1発ですべてが決まる。2発目を撃つことはありえないのだ。」
「し、しかし試射もしないのか!?」
「デイブ・マッカートニーといえば、アメリカでも5指に入る銃のハンドメーカーじゃなかったのか? おれの依頼主がおれを信頼するように、おれはあんたの腕を信頼してるんだ・・・・・」
「わかったよ・・・デイブ・マッカ-トニーのすべてをこれにかけてみせる! すべてをな! それだけか注文は?」
「うむ・・・」
「それならもう行ってくれ! 仕事のじゃまだ! なにしろ3時間だからな!」
「ちょうど3時間・・・1分と間違ってませんな! 銃身長が長いので必要上、銃床は重くしました。バランスはいいでしょう? 重量は8.6キロ・・・ふつう体重の5、6パーセントがいいといいますが、あなたならこの重い銃でも平気のはずだ! どうです、できばえは!?」
「上できだ!」
「ライフルは右回転! 望遠照準は6倍!」
「デイブ!」
「え?」
「ありがとう・・・・」
「明日の新聞を楽しみにしていますよ!」
リイド社 SPコミックス ゴルゴ13
 第7巻 AT PIN-HOLE
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