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1975年 インターラーケン世界選手権

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Kevlar String

    XXVIIIth World Championship Tournament
    June 25 – 28, 1975
    INTERLAKEN, SWITZERLAND
1.Darrell Pace    282/2 312/2 328/1 (世界新)344/1 1266/1
  USA       287/1 313/1 328/1 (世界新)354/1(世界新) 1282/1
           569/1 625/2 656/1 698/1 2548(世界新)
2.Richard McKinney 264/11 301/21 307/7 341/3 1213/5
  USA       273/14 311/2 314/6 347/2 1245/2
           537/9 612/4 621/3 688/2 2458
3.Kauko Laasonen  272/7 300/24 304/9 342/2 1218/4
  FIN       280/6 307/4 307/18 338/17 1232/3
           552/4 607/7 611/10 680/5 2450

1972年ミュンへンオリンピックでジョン・ウイリアムスによって、「金属製テイクダウンボウ」「トリプルスタビライザー」「エクステンションサイト」が登場。しかしそれはあまりにも突然な出来事だったので、翌1973年のグルノーブル世界選手権では世界に普及するに至っていませんでした。(「クッションプランジャー」はこの時から使われだされます。)
しかし1975年、3年もあれば最新の道具も世界の隅々にまで広がっていきます。ところが、この年もアメリカチームとダレル・ペイスは、新しいまだ誰も使わない「Vバー」を世界記録と共に披露し、ゴールドメダルを獲得します。ダレル・ペイスの世界デビューによって、スタビライザーは平面から立体構成へと進化するのです。

ダレル・ペイスがインターラーケンで樹立した世界記録は「ダブルFITA」ですが、彼はこの年の全米選手権では、前年記録したシングルFITA世界記録「1291点」を大きく更新して、初めて「1316点」(309・333・327・347)と、誰も射ったことのない1300点台へと踏み入りました。
しかしこの未知の点数は、スタビライザーによるものでもクッションプランジャーによるものでもありません。確かにダレル・ペイスだから成し得たものではあるのですが、それだけではないのです。

現在我々が使っているストリングの素材は「高密度ポリエチレン」と呼ばれるものですが、1975年までは現在初心者用に使われている「ダクロン製」(ナイロン)が競技用として使われていました。
ところが写真ではわかりませんが、この大会でダレルは「ケブラー製」(芳香アラミド繊維)のストリングを使ったのです。
この「Kevlar」はアメリカDUPONT社の発明で、1970年代初頭から製品として使われだした、強く、軽く、伸びない素材です。そんなハイテク最新素材が、突然1975年にアーチェリーの世界に登場したのです。

これでダクロンは、まったく勝ち目のない戦いを強いられます。F15にセスナで挑むようなものです。しかし、ケブラーをストリングに使用することを知っていたのはアメリカチームだけではありません。
1970年代に入り「ヤマハ」は世界戦略と選手対策に参入しました。その一環として、ヤマハの頭脳というだけでなく、世界のアーチェリーの頭脳である「伊豆田 忠男さん」が、1972年には「ケブラー」を使うことを考え出していました。そして、ミュンヘンオリンピック日本代表の合宿にそれを持ち込んでテストをしたのです。
ところがその結果は惨憺たるものでした。日本のトップクラスの選手の評価は、矢飛びや矢速、記録以前に、「音がうるさい」「サイトが緩む」「クリッカーが動く」といった評価で、日本のF15は消えたのです。

1975年に一気に世界に広まった「ケブラーストリング」ですが、何よりも「切れやすい」という欠点を持っていました。早ければ1000射から2000射でノッキングポイントから突然切れるのです。この最大の欠点を克服して1980年代中ごろに登場したのが、現在の「高密度ポリエチレンストリング」です。それは切れないだけでなく、より軽く、耐水性や対候性にも優れ、現在ある素材の中では最もストリングに適した素材と言えるでしょう。

GENTLEMEN, TEAMS
1. USA  7444  PACE + McKINNEY + BASTON
2, JAPAN  7168  HIROSE + TEZIMA + KONDOH
3. FINLAND  7127  LAASONEN + TAHVONEN + INKERI

7. Hirose Akira    273/3 310/5 300/16 335/10 1218/3
   JPN       256/8 298/15 312/10 343/7 1209/11
           529/13 608/6 612/7 678/7 2427
10. Tezima Masaki  255/26 288/48 294/29 337/7 1174/23
   JPN       284/2 299/11 308/16 334/23 1225/6
           539/6 587/23 602/15 671/13 2399
24. Nishi Takanobu  250/28 294/33 300/15 332/24 1176/20
   JPN       269/19 265/78 301/33 331/34 1166/38
           519/20 559/62 601/17 663/27 2342

この大会、日本が世界選手権史上初めて、「団体2位」で表彰台に上り、日の丸を上げた記念すべき大会でした。
そこで2番手の「手島さん」ですが、前半シングルが終わってその点数にガッカリして諦めがついて、、、アローケースに入れていたケブラーストリングを取り出し、後半シングルで射った点数がこれです。
ちなみに世界の試合で1200点台を射ったのは、この時の広瀬さんと手島さん2人が初めてでした。

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